【コロナで就職氷河期が来るは嘘!】有効求人倍率「1.50倍」は採用のチャンス?

このブログでは、志村智彦(志コンサルティング)と谷出正直(採用研究所・所長)が、
「人事が変われば、組織が変わる、組織が変われば、働く人が幸せになる」
というテーマで、人事担当者や経営者の方向けの採用や教育の情報をお届けして行きます。

※本内容はyoutubeから抜粋し、志村・谷出の対談から記事を作成しています
※動画でご覧になりたい人はこちら↓

「就職氷河期が来ている」って本当?

今日は、<就職氷河期は来ているのか?>ということをデータで暴いていきたいと思います。

メディアでは、

「コロナ禍なので、就職氷河期が来るんじゃないか?」

という風に言われたりもしていますね。

人事担当者や経営者の方は、
「2022年、新卒をちゃんと採用できるかな?」
というのが気になるところだと思います

実際のところ就職氷河期は来ているんでしょうか?

結論はですね…

<氷河期は来てない>です。

実は今は、
企業にとっては採用活動は行いやすい状況になってきています。

実は就職氷河期は来ていない…ということはどういうことなのか?

これについてはデータで見ていただきたいと思います。

引用:リクルートワークス研究所「第 38 回 ワークス大卒求人倍率調査(2022 年卒)」

こちらは、リクルートワークス研究所が発表している新卒の求人倍率の推移です。

いわゆる「大卒有効求人倍率」という、新卒採用の中では恐らく1番有名なデータではないかと思います。

<そもそも大卒有効求人倍率とは?>

大卒有効求人倍率は、

  • 企業にとっては、「採用がしやすい・しづらい」
  • 求職者にとっては、「就職活動がしやすい・しづらい」

ということを表している指標だと言われています。

大卒有効求人倍率=企業の求人総数÷民間企業就職希望者数

※企業の求人総数=日本全国の企業が採用したい新卒者の求人総数

※民間企業就職希望者数=民間企業に就職をしたいという学生の総数

わかりやすいイメージとしては、
「1人の学生に対して企業から何社のオファーがあるか(採用求人があるか)」
ということを表しているものと言えます。

売り手市場・買い手市場の目安となる数値は?

採用活動においてよく耳にする「売り手市場」「買い手市場」という言葉。
それぞれの目安となる数値をご存知でしょうか?

これまでの新卒採用の歴史とかを考えていくと

大卒有効求人倍率が「1.6」という値を超えると、いわゆる「売り手市場」と言われています。

売り手市場の場合、一般的には、就職活動をする学生にとっては有利、
企業にとっては逆に採用活動が厳しいと言われています。

逆に、大卒有効求人倍率が「1.4」という値を下回っていくと、「買い手市場」と言われ、
採用する企業側が有利になり、学生がなかなか就職活動がうまくいかない(なかなか採用に繋がらない)とされています。

ちなみに、就職氷河期とは、大卒有効求人倍率が低い時期(=買い手市場)のことを指します。

この時期、企業にとっては、「採用したいライバルが減る」わけですから、
実は就職氷河期は、企業にとっては採用しやすい時期と言えるんですね。

これは中小企業はもちろんのこと、大企業も同じです。

たとえば、学生に採用内定を出しても、
最終的には同業他社(特に自社よりも売上が高い企業やシェアトップの企業)を選ばれ、内定辞退されてしまう…
という状況に陥っていた企業にとっても採用のチャンスがある、とも言えるわけです。

2022年の採用はどうなるのか?

2022年卒の値を見ると、大卒求人倍率は「1.50」です。

昨年2021年の数値については、コロナショック後に調査したもので「1.53」という値でしたので、
数値としては、この1年での変化は微減。

コロナ禍の中で2年続けて数値は悪くなるかな、と思われていたものが、
そこまで悪くなく、持ちこたえていると言えます。

数値自体も「1.50」という値なので、
まあこの数字だけ見る限りでは、厳しいとは言いつつも、
これまでの就職氷河期と比較すると、求人数もあり、就職はしやすい状況です。

先ほどご覧いただいた、
リクルートワークス研究所の新卒の求人倍率のグラフを使って比較してみます。

このデータで最も山になっている一番のピークが、
いわゆる「バブル絶頂期」ですね。

有効求人倍率を見ていくと「2.8」。

ひとりの学生に3社の採用があったような状態なので、
求職者側は、行きたい企業を選べるというような状態でした。

その後、バブルが崩壊して、企業の採用は一気に減って行きます。

年々下がって下がって、
1996年には、有効求人倍率が「1.08」に。

いわゆる就職氷河期と呼ばれた時代です。

しかし、その後に一度数値が上がっているんです。

この上がったタイミングというのがいわゆる「ITバブル」というやつですね

ITバブルによって再び求人総数が増えますが、
そのITバブルも崩壊してまた数値は下がってしまいます。

ITバブル崩壊以降、最も下がったところが2000年の「0.99」です。

ちょうど2000年3月入社をする方が「0.99」ということで、
初めて大卒の学生数の方が求人数よりも多くなった時代です。

「超氷河期」と言われたこの時期から、
しばらくは有効求人倍率「1.3」という形でずっと横ばいです。

その後、2005年を境に、2006年からまた上がっています。

この辺りからようやく採用就職活動はしやすくなっていき、
「2.0」を超えた時期が2年間ありますが…

その後、ご存知の通りリーマンショックが起こります。


ここから3年かけて有効求人倍率は落ちていきますが、
そのあとは、アベノミクス等の影響によって段々と数値は上がっていきます。

しばらくは1.6を超える売り手市場状態がずっと続いていましたが…、

今回のコロナ禍の影響で
「1.8」という値が「1.5」と言うところまで落ちている、と言うのが現状です。

これまでの有効求人倍率の変遷をたどってみると、
現状の「1.5」という値だけを見ると、
過去のバブル崩壊後の氷河期、その後の超氷河期、
リーマンショック後に比べるとまだまだ高い数値ではありますので、
氷河期ではない、と言えるわけですね。

この時期に、企業が立てるべき戦略とは?

(1)企業にとってはチャンスの時期と捉える

中小企業を始め、これまで採用が難しかった企業にとっては、
この時期は「自社に合った人材を採用する大きなチャンス」とも言えます。

だからこそ、積極的に採用活動に取り組むのが一つです。

(2)5年後、10年後の組織を見据えた採用を行う

コロナ禍という状況下において、
採用活動を躊躇する、止めてしまうことを検討される
企業の方も多くいらっしゃると思われます。

しかし、採用活動を止めてしまう弊害として
組織がいびつになってしまう、と言うことが挙げられます。

5年、10年経ったときに組織構造に影響が出てしまいます。

実際に、リーマンショックやバブル崩壊後に採用を止めていた企業さんなどからは
組織構造の偏りなど、ダメージが大きくなっていると言うお話も伺います。

だからこそ、このような状況下においても継続して採用し続ける、
ということには取り組んでいただけたらと思います。

(3)既存社員へ与える影響を視野に入れる

見逃してはならないのが、採用活動が既存の社員へ与える影響です。

新入社員が入ってきたことによって「組織が活性化する」ということは
企業にとっては大きな価値ではないでしょうか?

なぜ組織が活性化するか?

新入社員が入ると、これまで自分たちがやってきたこと、暗黙知となっている経験値を
言葉にして伝える、ということをして行きます。

もし新入社員を採用しなかったら、この経験を積むことができません。

1年目、2年目の若手社員が、来年になってもずっと後輩のまま…となると、
後輩を育成することによって成長するという機会を奪ってしまうということもあります。

以上のことからも、
ぜひ、数人でもいいので、採用活動をし続けることによって
企業として5年、10年、20年と継続的に発展していく土台を作ってもらえると良いのではないかと思います。

結論

「就職氷河期は来ているのか?」というテーマでお届けをして来ましたが、
データで見る限りでは、「就職氷河期はまだ来てない」と言えます。

メディアによって、人事の方々もマイナスの不安を感じていらっしゃるかもしれませんが、
実は採用活動にとってはマイナスではない、ということをご認識いただけたらと思います。

今回ご紹介した、リクルートワークス研究所のデータなどは、
2022年の採用はもちろん、2023年以降の採用について検討する際にも活かしていただけたらと思います。

余談

ちなみに、私、志村は2005年に新卒入社をしました。
有効求人倍率が上がり出す最後の年でしたね。

この時期に就職活動を経験した同期たちを見ていると、
就職に対して危機感を持っていたからこそ、
入社後、仕事に対しても危機感を持って真剣に取り組んでいたなとも感じます。

こういう風に、ちょっと大変な時期に就職活動を経験し、入社した人材というのは、
仕事に対しても意欲的に頑張ってくれるという側面もあるのではないかと覆います。

企業の方にとっては、コロナショック以降、様々な課題も抱えていらっしゃるかと思いますが、
是非 人事方、経営者の方には採用活動に前向きに取り組んでいただければ、と思います。

youtubeでは、新卒採用や人材育成に関わり、15年以上のキャリアがある志村と谷出氏が
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