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学生を魅了する採用説明会での効果的な話し方/人事は説明会で「説明」をしてはいけない?! category:コラム update:2022.03.04

このブログでは、志村智彦(志コンサルティング)と谷出正直(採用研究所・所長)が、
「人事が変われば、組織が変わる、組織が変われば、働く人が幸せになる」
というテーマで、人事担当者や経営者の方向けの採用や教育の情報をお届けして行きます。

いよいよ2023年卒の新卒採用活動も本格スタート!

前回の記事でもお話ししましたが、今年も昨年同様にオンラインでの採用活動が必要不可欠となります。

こちらのブログでは、「オンライン説明会の作り方」について全4回シリーズでお伝えしてきました。
「会社説明会」が本格化するこの時期に改めてご確認いただけたらと思います。

【オンライン説明会のやり方①】オンラインでも採用を成功させる手法と観点

【オンライン説明会のやり方②】オンライン説明会の設計方法

【オンライン説明会のやり方③】WEB採用で選ばれる会社になるためには?説明会・動画・面談の効果的な使い分け!

【オンライン説明会のやり方④】オンライン説明会での効果的な伝え方/進行方法やファシリテーションの技法

新卒の採用活動において、「会社説明会」は就活生との大切な接点です。

自社のことを認知してもらう機会であるのと同時に、

「この会社に入りたいな」
「この会社の選考に進んでみたいな」

と、就活生に興味を持ってもらう最初のきっかけにもなります。

今回は、この「会社説明会」において、見落とされがちな
<最も重要なポイント>についてお伝えをしたいと思います。

オンラインに限らず、対面式の企業説明会においても
「このポイント」を押さえているかいないかで、就活生の印象や志望度が大きく変わってきます。

説明会をすでに実施している企業様も、これから本格的にスタートする企業様も、

「会社について色々説明をしているのに、学生の反応が薄い…」
「説明会には参加してくれたけれど、以降の選考になかなか進んでもらえない…」

もし、そんな風に感じているとしたら、ぜひチェックして見ていただけたらと思います。

※本内容はyoutubeから抜粋し、志村・谷出の対談から記事を作成しています
※動画でご覧になりたい人はこちら↓

会社説明会における就活生の不満とは?

実際に就職活動をしている学生と話をしていると、

「面白かった(印象に残っている)説明会と、そうでない説明会がある」

という声を耳にすることがあります。

詳しく話を聞いてみると、会社説明会に対する「不満事項」が見えてきます。

<就活生の「会社説明会」に対する不満事項の一例>
 ・ホームページに書いてある内容をそのまま説明された
 ・目新しい情報がなかった
 ・同業他社とどこが違うのかがよくわからなかった
 ・平坦な喋り方で耳に残らなかった

どの企業の採用担当の方も、きっと熱心に説明会を開催されたはずです。
それにもかかわらず、もし就活生がこんな風に感じていたとしたら、いかがでしょうか?

「一生懸命、会社のことや仕事のことを説明しているはずなのに…」

そんな風に感じてしまうのではないでしょうか?

しかし、実は、この「一生懸命に説明をしている」という点にこそ、
就活生の不満を生む大きな課題があるのです。

あなたは会社説明会で「説明」をしていませんか?

この見出しを読んだあなたは、おそらく
「会社説明会なんだから”説明”をするのは当然だ」
と感じたのではないでしょうか?

確かに、「説明会」という名称であるからには、
会社の情報や仕事の詳細を説明する必要がある、と感じるでしょう。

しかし、ここで、先述の<就活生の「会社説明会」に対する不満事項>を思い出していただきたいのです。

たとえば「ホームページに書いてある内容をそのまま説明された」という点について。

会社のホームページが何のために存在しているかというと、ズバリ「会社のことを紹介するため」ですよね。

だからこそ、多くの企業が説明会を組み立てる際に、
「すでにホームページに掲載してあるような情報を説明する」という設計にしてしまいがちです。

しかし、不満事項からも読み取れるように、
会社説明会に参加する就活生の多くは、説明会に参加するにあたって
会社のホームページやナビサイトに掲載されている情報は事前に確認をしています。

だからこそ、会社のことをいくら熱心に説明したとしても、
就活生の心には響かないんですね。

余談ですが、私志村は前職で営業職の経験がありますが、
営業も「営業しよう(売り込もう)」とすると実は売れない…ということがあるんですね。

それと同じで、会社説明会においては、
「説明しよう(紹介しよう)」と意気込めば意気込むほど
就活生との温度感がずれていってしまうと言えます。

そもそも、何のために「説明会」を開催するのか?

それでは、会社説明会では、具体的にどんな話をすれば就活生の心をつかむことができるのでしょうか?

そのことについてお話しする前に、採用担当者の方にぜひ考えていただきたいことがあります。

それは、

「そもそも、あなたの会社は、何のために会社説明会を開催しているのか?」

ということです。

例えば、 会社説明会の最後の質疑応答の中で、参加者から

「御社はなぜ説明会をされているのですか?」

と質問をされたとしたら、どのように答えるでしょうか?

「説明会は新卒採用の入り口だからやっているんだよ」と言うでしょうか?
もしくは「会社のことを知ってもらいたいからやっています」と答えますか?

もしそうだとしたら、就活生の視点に立ってみると、
「会社の情報だけならホームページにも書いてあるのに…」となってしまいますよね。

実際にこんな質問を投げかけてくる参加者はいないかもしれませんが、
この「何のために説明会をやっているのか」ということを
採用担当者が理解できているかどうかは極めて重要です。

なぜならば、「あなたの会社が説明会を開催する目的」によって、
説明会をどういう時間にする必要があるのか、
参加者に何を伝えなくてはならないか、ということが大きく変わってくるからです。

そもそもの「目的がない」ということであれば、
いっそ、会社説明会というもの自体が不要になってくるかもしれません。

ホームページ上に公開しているような会社情報を知ってもらいたい、
ということが目的なのであれば、必ずしも説明会という時間を設ける必要はありませんよね。

それならば、エントリーをしてくれた就活生に対して、

「ホームページをくまなく見てください。私たちがお伝えしたいことは全て掲載していますので」

と、会社ホームページのURLを添えてメッセージを送るだけで目的は果たされます。
そうすれば、採用担当者の貴重な時間を費やすことも無くなりますよね。

このように、ただ「説明」をする、という理由だけであれば、
必ずしも会社説明会を行うことは必要ではないと言えます。

しかし、それでも多くの企業が会社説明会を実施していますし、
中には、説明会をきっかけに就活生の興味喚起をし、
上手く選考→採用につなげることができている企業も存在します。

それでは、会社説明会が上手くいく企業とそうでない企業の違いは一体どこにあるのでしょうか?

人事担当者必見!就活生の心を掴む会社説明会のつくり方

ここまでで、会社説明会は、単なる「会社の説明」で終わるのではなく、
就活生の心を掴み、会社への興味を喚起することが大切であるということをお伝えしてきました。

それでは、具体的にはどのような内容、設計にしていく必要があるのでしょうか?

その点をイメージしていただくにあたって、ぜひ参考にしていただきたい動画がありますのでご紹介いたします。

<参考動画>
サイモン シネック: 優れたリーダーはどうやって行動を促すか

※ Youtubeに繋がります
※「日本語字幕」ONで字幕の閲覧が可能です

この動画は、有名企業の事業戦略について解説を交えつつ、
「どうやって人を惹きつけるのか」ということについて話されているのですが、
これは採用活動においても非常に活用できるテーマとなっています。

詳細については、先にご紹介した動画、もしくは
サイモン・シネック氏の著書をご覧いただけたらと思いますが、
簡単にこちらでもご紹介したいと思います。

採用に求められる「伝達力」とは

サイモン・シネック氏は動画や書籍の中で、
「優れたリーダーや組織には、ある共通の考え方や行動があり、その方法は一般の人とは真逆である」
ということを伝えています。

そのことについて、下記のような「ゴールデン・サークル」という一つの図を用いて説明をしているんですね。

多くの人は、何かを説明しようとする際に、
「What(何をするか)」→「How(どうやるか)」の順で説明をする、
と、サイモン・シネック氏は述べています。

これを会社説明会に置き換えて考えてみると、
下記のような流れになります。

「What」…私たちの会社の事業内容は●●です
  ↓
「How」…仕事内容は▲▲です。こういう仕事をしています

このような流れで説明会を進めている企業は非常に多いです。

しかし、サイモン・シネック氏は、
多くの人がこの順番で説明をしがちであると言いつつ、
「人を惹きつける人は、この順番が違うのだ」と伝えているんですね。

その順番については、彼の著書のタイトル「WHYから始めよ」にも表されている通り、
下記のような順番であると言います。

「Why」…私たちはなぜこの事業をしているのか
 ↓
「How」…それをどのような方法・流れでやるのか
 ↓
「What」…具体的に何の仕事をしているのか


注目していただきたいのが、「Why」から話をする、という点です。

会社説明会や採用において語るべき「Why」には、たとえば下記のような内容が挙げられます。

●私たちはこんな価値観を大切にしてます
●こんなビジョン、目指すべき姿があります
●こんなやりがい、働く理由を持ってやっていますよ


いかがでしょうか?

あなたの会社の説明会では、「Why」について語られていますでしょうか?

実際に、様々な企業の方にこのお話をさせていただくと、
「うちの説明会では「What」と「How」の話しかしていませんでした…」
とおっしゃる方は非常に多いです。

「わが社の事業内容はIT業界です。仕事内容はシステム開発です」
というような説明に終始してしまっている、ということなんですね。

確かにこれらは会社の説明ではありますが、

このような説明を受けた就活生は、果たして
「この会社で働いてみたい」「一緒に仕事をしてみたい」
と興味をそそられるでしょうか?

これでは、
 ・ホームページに書いてある内容をそのまま説明された
 ・目新しい情報がなかった
 ・同業他社とどこが違うのかがよくわからなかった

と、就活生が不満を持っても仕方がないと思いませんか?

自社にマッチした人材を採用するための伝え方

就活生の心を掴み、「この会社で一緒に働きたい」と思ってもらえるには、
「Why」から伝えることが重要である、ということをお伝えしてきました。

会社説明会に当てはめると、このような流れになります。

「Why」…創業者がどのような思いで会社を立ち上げたのか
 ↓
「How」…どんな人の役に立ちたいと思ったのか
 ↓
「What」…それを実現するために何をすれば良いと思ったのか


この流れで語るストーリーは、1社1社全く異なるものになるはずです。

そして、説明会に参加した就活生は、「Why」から始まるこのストーリーに共感した時に
「この会社で一緒に働きたいな」と興味を持つことができるんですね。

本来、同業の会社であったとしても、
1社1社、一つとして同じ会社は存在しません。

社風一つを取っても、
体育会系で情熱的なA社があったとすると、
アットホームで柔和なB社があったりもします。

会社の文化は、「Why」である創業の背景や経営者の価値観、
ビジョンなどから作られているとも言えます。

これらは、どの会社が良い悪いということではありません。
自社の特徴、文化はこういうものなんだ、ということを
就活生にしっかりと説明をすることが大切なんですね。

たとえば、就活生の中にも、体育会系のA社のような会社に対して
「ちょっと苦手だな…」と思う学生もいれば、
「実力を認めてくれそうだな」と思う学生もいるわけです。

会社の「Why」から始まるストーリーを伝えることで、
就活生側も「自分はこの会社に合う、合わない」と判断をすることができますよね。

会社の価値観に合う学生を採用することは、企業側にとっても非常に重要です。
効果的に採用のミスマッチを防ぐことができますし、
内定辞退の防止や、入社後の定着・活躍にもつながります。

オンラインでの採用活動が普及したことによって、
会社説明会で、実際の社内の雰囲気を感じてもらうなどの機会も少ない中で、
「私たちの会社はこういうことを大切にしていますよ」という部分は、
意図して伝えない限り就活生に届けることは難しいです。

だからこそ、就活生の心を掴み、採用を成功させるためには、
まず、自社の「Why」を改めて見つめ直し、就活生に伝えていく、
ということに取り組んでいただきたいと思います。

採用担当者自身が取り組むべきポイント

最後にもう1点、
採用担当者の方ご自身にぜひ取り組んでいただきたいことをお伝えいたします。

それは、
採用担当者の方が、ご自身のストーリーを「Why」から語る、ということです。

「なぜ私はこの仕事をしているのか」ですとか
「どうなりたいと思っているのか」というような
働く理由(Why)をまとめていただいて、
説明会の最後の方で、ご自身の言葉で語る、なども良いでしょう。

就活生にとっては、最も身近に触れる採用担当者の方が
どのような思いで、何を大切にして仕事をしているのか、
ということに触れることによって、

「◯◯さんと一緒に働きたいな」
「こういう社会人になりたいな」

と感じるきっかけとなり、それが会社への興味関心へと繋がっていきます。

採用担当者の方や、経営者の方が
「なぜ仕事をしているのか」「なぜ働くのか」ということを
ご自身の言葉で就活生に伝える、ということはぜひ取り組んでいただきたいと思います。

まとめ

今回は「学生を魅了する採用説明会での効果的な話し方」というテーマでお届けをしました。

会社説明会において大切なことは「自社の説明をすること」ではなく、
「自社のWhyを語ること」である、というお話でしたが、いかがでしたでしょうか?

「語る」というのは「自分の言葉で表現する」ということなんですね。

ぜひ、会社説明会では「説明」をするのではなく「語る」ということを心がけて
就活生と向き合っていただけらと思います。

今回もお付き合いいただきましてありがとうございました。

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