人事戦略 組織開発の専門家 志村智彦 志コンサルティング株式会社

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オンラインでも採用を成功させる手法と観点【オンライン説明会のやり方①】 category:コラム update:2021.12.02

このブログでは、志村智彦(志コンサルティング)と谷出正直(採用研究所・所長)が、
「人事が変われば、組織が変わる、組織が変われば、働く人が幸せになる」
というテーマで、人事担当者や経営者の方向けの採用や教育の情報をお届けして行きます。

※本内容はyoutubeから抜粋し、志村・谷出の対談から記事を作成しています
※動画でご覧になりたい人はこちら↓

Contents

「オンライン説明会」対策できてますか?

今回から、全4回にわたって「オンライン説明会」の設計の方法についてご説明していきたいと思います。

コロナショック以降、採用活動においても会社説明会をオンラインで行う企業が増えてきました。

オンラインで説明会を行う一番のメリットは、

「より多くの学生に知ってもらう機会が作られる」

ということではないかと思われます。

今までのように、会場に人を集めて行う対面形式での企業説明会の場合、
 ・会場の大きさによって参加人数が限られる
 ・会場までの移動時間や交通費によって参加できる企業が限られる
といったケースもありました。

しかし、今はインターネットを介し、日本全国、もっと広げると世界中どこにいてもその会社を知ることができるというのは、
就職活動をする学生はもちろん、企業にとっても上で非常に大きなメリットですよね。

コロナショック以降、リアルな場での会社説明会ができなくなったものの、
それによってオンラインでのやり取りが一般的なインフラとして広まったという側面もあります。

これからますます一般的になっていくと思われますが、
あなたの会社では、オンラインで行う会社説明会の対策はできていますでしょうか?

「これまで対面形式で行っていた会社説明会をそのままオンラインで実施すればでいいのでは?」
と思われる採用担当の方もいらっしゃるかもしれませんが…実は、それでは上手くいかないケースもあります。

今回から、オンライン説明会の特徴・ポイントについてお話をしていきながら、
実際にどのような点に気をつける必要があるのかということもお伝えしていきます。

コミュニケーションの型を知る

1回目でお伝えしたいのは「オンラインのコミュニケーション」特徴です。

zoomやTeamsなどを活用し、オンライン会議や通話のご経験のある方は
感じていらっしゃるのではないかと思いますが、

オンラインとオフラインではコミュニケーションに違いがあり、
それに合わせて取るべきコミュニケーションの型も異なります。

ここではまず、下図をもとに、コミュニケーションの型についてお話をしていきます。

横軸が「オフライン」と「オンライン」となっています。

縦軸は「同期」「非同期」となっていますが、これは「時間の重なり」を表しています。

●時間が重なっている=同期

同期型は、「ライブ」と言われているものと認識いただくとわかりやすいと思います。
同じ時間を同じ場所で一緒に過ごし、その場でコミュニケーションを取ることを指します。

従来のような対面型の説明会や面接などはオフラインの同期型コミュニケーションであり、
今回のテーマでもあるオンライン説明会は、オフラインの同期型コミュニケーションとなります。

●時間が重ならない=非同期

それに対し、非同期型は、時間に関係なくいつでも参加・閲覧できるものを指します。

たとえば、YouTubeなどは、動画を撮影している時間と、視聴者が閲覧する時間は必ずしも一致しませんので、
非同期型でいつでも情報を提供できるツールと言えます。

非同期型のオンラインコミュニケーションと言えば、これまでもメールやチャットなどがありましたが、
今の時代は動画・映像コンテンツというものが入ってきている、というのが特徴的ですね。

これからの時代に求められるコミュニケーション

コロナショックの影響で、急速にオンラインのインフラ化が進んだ現在。
これからは図の右側にあたる「オンライン」の同期型、非同期型コミュニケーションを
それぞれうまく活用していくことが重要になってきます。

そのためにも、ここでは「オンラインのコミュニケーションにはどういった特徴があるのか?」ということをお伝えしていきます。

特徴は大きく3つに分けられます。

<オンラインコミュニケーションの3つの特徴>

①言語情報が伝わりやすくなる

オンラインでのコミュニケーションの中心は「言葉」になります。

たとえばYoutubeなどをイメージしていただきたいのですが、
人が話している言葉や、画面に映し出される字幕などは非常に伝わりやすいですよね。

字幕を読むということによって、視覚から言葉が入ってきますので、
対面でただ話をするだけよりも言葉が伝わりやすいという特徴があります。

②非言語情報が少なくなる

①とは逆に、伝わりにくくなっているものがあります。
それが「非言語情報」です。

非言語情報とは、たとえば「雰囲気」や「身振り手振り」「人柄」といった、
言葉以外の部分から伝わってくる情報のことを指します。

就職活動においても、学生が就職先を選択する際に、
「社員の方の人柄が良かった」「会社の雰囲気が良かった」ということが
決め手になるケースがあります。

雰囲気や空気感などは、画面越しのオンラインコミュニケーションでは
なかなか伝えるのが難しく、限られた情報となってしまいます。

また、企業から見ても、対面形式で説明会や面接を行う際には、
「あ、この子は入り口で挨拶をちゃんとしているな」
「この子は、終わった後、挨拶をしないで帰ってしまったな」
といったことも含めて、学生の人柄を見極めたりもされますよね。

このように、対面の場合にはその方の全体、全身を見てイメージをされるかと思いますが、
オンラインではなかなか把握が難しいところでもあります。

③気軽に参加できる

こちらはイメージがしやすいかと思います。
場所、時間帯などの制約が少なく、気軽に参加しやすいのが特徴です。

オンライン上でのコミュニケーションの注意点

伝えたいことを的確に伝えやすい、参加しやすい、といったメリットがある一方、
起こりがちなこととしては「評価が厳しくなりがちである」ということも挙げられます。

なぜ評価が厳しくなるのか?

人は、自分自身が理解しがたいもの、わからないものに対して
「これはダメだ」という風に評価をしてしまいがちでもあります。

採用の現場においても、こういったことは起こりがちです。

たとえばご自身が面接官として
1次選考を通過させた学生に対し、
次の2次選考を担当した別の面接官から、
「どうしてこの人を通過させたんですか?」と言われてしまった…

という経験がある方はいらっしゃいませんか?

このときに、理由をしっかりと説明できない場合、
ちゃんと面接ができていないのではないか、と言われてしまったり、
ミスマッチが起こってしまう原因にもなります。

オンラインでの説明会、面接では、②で挙げたように
従来のオフラインの時には得られていたような非言語情報が得がたく、
選考の判断がしづらい、という場面も出てきます。

だからこそ、オフラインの時よりも、ジャッジや選考を厳しくして、
自分が「こういう理由で上げました」と説明できるようにするというケースが起こり得ます。

自分も相手も「伝わった感」が得られない

また、オンラインでは双方が「伝わった感」が得られているか、という点も重要です。

オンライン説明会では、相手の反応、空気感などが把握がしづらく、
「参加者に必要な情報を届けられていないのでは?」と感じやすいです。

その点も踏まえて準備をする必要があります。

目的以外のコミュニケーションの機会が減ってしまう

もう1点、オンライン化したことで「目的以外のコミュニケーションを取る機会が減る」という点が挙げられます。

従来のような対面形式の会社説明会の場合、
学生が会社訪問すると、様々な受付を経て会場に入ります。
その間にも社員とすれ違ったり挨拶を交わす場面もあるでしょう。

また、会場に到着してから説明会が始まるまでの間や、説明会終了後など、
参加者同士はもちろん、説明会の担当者と挨拶を交わしたり、雑談や質問をする機会もあります。

こういったやり取りの中で、会社の雰囲気や、人柄などを肌で感じられたりもしますよね。


就活生同士も、雑談の中で「最近の就職活動はこんな感じ」とか「こんな面白い会社があったよ」など情報交換する事で、
会社が社会や仕事の仕組みや捉え方などを知る機会を得られ、説明会に参加した意義をより感じられます。

一方、オンライン説明会の場合は、開催時間になると参加者がURLにアクセスし、接続と同時に説明会がスタートします。

そして、終了時は「今日はありがとうございました。以上で終わります」という挨拶ののち、
参加者が退出ボタンを押した瞬間に、プシュッと切れてしまいます。

採用担当側も、時間や接点が限られている分「しっかりと説明会の情報を伝えよう」という意識も強く働き、
雑談が交わされるような余白の時間は削られがちです。

このように雑談が少なくなることで、参加者側にとっても、情報収集やモチベーション向上の機会も少なくなってしまいます。

コミュニケーションを設計する重要性

こういったオンライン上のコミュニケーションの課題を解消するにはどうしたらよいでしょうか?

一つは、「意図して目的以外のコミュニケーションの機会を作る」ということが挙げられます。

たとえば、オンライン説明会の冒頭の5分〜10分は、
いわゆる「アイスブレイク」のような時間を設けてみるのもよいでしょう。

いきなり説明を始めるのではなく、冒頭では参加者に色々な話を振り、会話を促してから
「じゃあそろそろ始めましょうか」と進めていきます。

こうしたコミュニケーションのほか、あえて雑談の時間を取る、
社員交流の時間を盛り込む、など、
開催側が意図的に「目的以外のコミュニケーション」を設計することが大切です。

対面形式の説明会の場合には意図せずとも生まれやすいこのようなコミュニケーションも、
オンライン説明会の場合には「あえて意図的に」盛り込むことが必要になってきます。

ぜひ、関係性を構築することを意識し、取り組んでみてくださいね。

<ぜひ押さえよう>オンラインコミュニケーションの特徴チェック

そのほかにも、ぜひオンライン説明会、面接において押さえておきたい
コミュニケーションのポイントやチェックすべき項目についてまとめてみました。

<オンライン環境について>

●通信環境が一番大事!有線接続の方が安心。
●PCは本体と予備の2台を接続しておく。
●カメラの位置を目線に合わせる
●顔に光が当たるようにして、表情を伝える。

まずこちらの4点は、オンラインで接続する際の環境についてのポイントです。
このような環境を用意しておくことで、参加者の方に安心して参加していただけることはもちろん、
開催側も安心してコミュニケーションを取ることができますので、ぜひチェックしてみてください。

<コミュニケーションスキルについて>

●結論から、端的に話す。
●話すスピードは早めにする。
●リアクションを通常の1.5倍にする。
●動画や映像との親和性が高い。
●一方的に話をしがち。
●自らテンションを上げてやりきる。
●相手に質問を問いかける。

これらは説明会におけるコミュニケーションスキルのポイントです。
オフラインでのコミュニケーションに通じる部分もありますが、
オンラインの場合には特に意識したいコツをまとめました。

中でも、「一方的に話をしがち」という点については、
オンラインの性質上どうしても起こりやすいため、特に意識しておきたいポイントです。

これらはいきなり説明会の場でやってみよう!というのは難しいかもしれませんが、
あらかじめ練習をしておくなど、対策をしておくと良いですよ。

<参加者への配慮について>

●長時間の集中力は、もたない。
●適度に休憩を入れながら進める。
●参加者のITスキルを確認しながら行う。

オンラインでは参加者の方と空間を共にしているわけではありませんので、
参加者の方への配慮も重要です。

ちなみに「長時間の集中力は、もたない」という点について、
具体的に何分ぐらいなのかといった点については、次回詳しく取り上げたいと思います。

ITスキルについては、学生の場合、オンライン授業なども一般的になっていますし、
zoomやTeamsなどの使い方も慣れているケースが殆どかと思いますが、
個々によって状況も異なりますので、参加者のITスキルに寄り添った運営も重要です。

<まとめ>オンラインコミュニケーションの特徴チェックポイント

まとめ

第1回目ではまず、「オンラインコミュニケーションの特徴」についてお話をいたしました。

コミュニケーションの型「非同期型」「同期型」を理解した上で
採用戦略を活かしていくということが重要になってくるかなと思います。

ぜひ、オンライン説明会の開催前にチェックしてみてくださいね。

次回は「時間構成編 実践編」をお伝えします。

オンライン説明会を組み立てる際に、
どういう風に時間を組んで、どのような内容にしたらいいのか、
ということを、データを踏まえてお伝えしていきたいと思います。

ぜひ次回もご覧くださいね。

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