人事戦略 組織開発の専門家 志村智彦 志コンサルティング株式会社

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経営者向け:人材育成を失敗させない研修設計・デザインの要点 category:コラム update:2025.02.27

効果的な人材育成を実施するためにはどうしたらいいか?

志コンサルティング株式会社の志村智彦です。
私は20年間、人材教育コンサルタントとして、人材教育や採用、講師育成に関わってきました。
また、中小企業診断士や、大学院の特任講師などの活動をしており、
中堅・中小企業様のご支援もさせていただいています。

仕事柄、自社の教育や組織開発について考えている経営者や人事部長の方から
「いま、どんな研修が流行っていますか?」という質問を受けます。

世の中の流れを受けて、教育のトレンドも変化します。
例えば、「人的資本経営」「働き方改革」「多様性(D&I、SDGs)」
「Z世代・若手の傾向」など、時代の動きに合わせたキーワードが出てきます。

こうしたトレンドを追うことも大切です。
ただ、教育設計を行う上で重要なのは、経営として「どうありたいか」という
未来像やビジョンから逆算した設計が大切です。
それらとトレンドが合致すると良い教育システムが作られていくと感じています。

特に、経営戦略と人事戦略を紐づけることが非常に重要になっていきますが、
今回のコラムでは、特に人材育成における教育研修の設計に関する基本的な考えと、
研修の種類と効用についてお伝えいたします。
これから教育をより、強化していきたいと考えている方向けです。

研修はイベントではなく、組織変革のプロセスである

まず、重要なことは「研修はイベントではなく、組織変革のプロセスである」という視点です。
これは米国のコンサルタント・ボブパイク氏の言葉です。

「良い研修・良い人材教育」とは何かを考える上で、
全体のプロセスを考えなくてはいけないということです。

研修を1つのイベントとして考えるのであれば、盛り上がりそうどうか、
受講者満足度が高いかどうか、良い先生かどうかの視点で、選べば良いと思います。

一方で、組織変革のプロセスという視点で考えた場合、時間軸がより長中期的になっていきます。
1日・2日のイベントでなく、年度ごとや、3年単位で組織をどのように
発展していきたいかを考える必要があるからです。

そうなると、「この組織をどうあるべきか」という未来像を経営者が示し、
人事責任者・担当者が「そのためにどんな教育や採用、制度が必要か」を
考えなければいけません。
中小企業の場合、この部分を直接、社長や役員が考えなくてはいけないケースもあるでしょう。

また、間にいる管理職に向けてもあるべき姿を伝えて、
会社全体として、教育を体系的に作り込んでいく必要があります。

このような未来像に向けたあるべき育成像は、
大企業だとこれまでの延長線上に作成されてきています。
ただし、事業環境が変化しているにも関わらず、数年、見直されていないケースも散見されます。

また、中小企業やベンチャー企業の場合、
そもそも育成プランがないという場合もあるでしょう。
属人的で、個々のスキルに頼っている、一人親方の集合体のような企業は少なくありません。

企業の発達段階を考えるとそれで問題ない時期もあります。

ただし、組織の拡大が始まると、組織立った教育システムが必要になり、
教育をせずに組織拡大を目指すと、砂の上の牙城のように脆い組織体になってしまいます。

私のクライアントの中堅企業の社長は
「大手は良い人材を採用して、体系だった教育をしている。
一方、我々はそこそこの人材を採用して、教育の体制が未整備となれば、
一生差が縮まらないどころか、差はつくばかりだ。」とおっしゃっていました。

教育制度があることは、採用にも良い影響がありますし、
その後の育成スピードを高めることにも繋がります。

ただし、これらを考える時間がないという方も多いはずですし、
諸々の社内調整が必要だったりして、見えない工数が結構かかります。
そのため、結局、現場への丸投げOJTで毎日を凌ぐ状態があるのではないでしょうか。

当社でも、成長している中堅企業様のご支援をしています。
採用から教育までの一環したサポートを行っており、
特に中堅・中小企業の方ですと、
経営幹部と一緒に人材像や教育像を考えるプロジェクトが近年増えてきています。

このように、全体のデザインに関しては、
また別のブログでご紹介するとして、実際に研修を実施する際は、
どのような準備やセッティングをすればよいかをここからご紹介したいと思います。

「何をするのか」よりも「なぜやるのか」が重要

上記を踏まえた上で、研修を企画していきます。
研修を企画するとき、「どの研修をするのか」に悩む方は多いですが、
「何をするのか」以上に大切なのが「なぜやるのか」を明確にすること。

なぜなら、どの研修を実施するべきかどうかは、
「どういう組織を目指しているか」によるからです。

研修とはあくまで組織戦略(理念、ビジョン、戦略)に
紐づいた人事戦略(評価、配置、採用、教育)の中の1つ(下記参照)。

研修はモチベーションアップのためのカンフル剤ではなく、
企業が目指す姿と現状のギャップを埋めるための人材戦略の一環なのです。

つまり、「組織戦略に沿った研修を企画できるかどうか」が研修成功のカギを握ります。

まずは「受講生が抱える課題」「研修の目的、ゴール」「研修後に受講者に起こってほしい変化」を明確にしましょう。

研修を失敗させないために知っておくべきこと

研修を企画するとき、実はもっとも重要なのは
「研修実施の前と後」です。

米国の人材育成の専門家のロバート・ブリンカーホフ教授は、
効果的な学習方法として「40/20/40のモデル」という概念を紹介しています。

これは、研修を成功させるためには研修前・研修中・研修後、
それぞれどのくらいの割合でパワーを注ぐべきかを表したもので、
「40(研修前の準備):20(研修の内容):40(研修後のフォロー)」と、
研修効果を最大化させるためには研修当日の内容だけではなく、
研修前後の取り組みが重要だとおっしゃっています。

これは、私自身20年間、企業の研修をサポートしてきて痛感している点でもあります。

学習効果をより高めるためにも、研修前の社内調整は非常に重要です。

たとえば、階層別研修を実施する際は、参加者に事前課題や事前アンケートを実施します。
そして参加者だけではなく、上司に対しても研修の意図や、
目的を理解してもらう案内を出すようにしています。

なぜなら、上司が研修内容を知らなければ、
研修を受けた受講者がその後現場で実践できているかどうか、
理解ができないからです。長期に渡るプロジェクトの場合は、
上司のみなさんに直接、説明会を実施したり、内容を動画で配信したりすることもあります。

そして、研修終了後は、学んだことを現場で生かしてもらうために
フォローアップの機会を設けることも重要です。

プロジェクト型研修の場合は、目標設定した内容が
どれくらい実践したのかを発表しあう場を設けます。

一方で、振り返り研修ができない場合でも、
アンケートを実施し、「実践度」について、振り返りをしてもらいます。

成果を最大化させるためにも、知った段階で終わりにするのではなく、
理解を深めるための演習や、
現場で実際に活用できるようにするための取り組みまで設計することが大切です。

研修の種類と効能を理解し、選択肢を検討する

さて、研修の種類を検討していくのはここからです。
自社に最適な研修を選択するために、まずは研修にはどのようなものがあるのか、
全体像を把握しましょう。今回は主な研修の種類と効能を、
階層別・職種別・目的、テーマ別にご紹介します。

〇人事部が主催の階層別研修

・新入社員向けの研修

基本的なビジネスマナーや、学生と社会人の違いを学び、
スムーズに社会人としてスタートを切るための研修です。

同期同士の繋がりを意識できるようなグループワークを取り入れることで、
早期退職防止や定着率の安定にも繋がります。

ここで忘れてはいけないのが、
マナーや仕事の流れといった「やり方」だけでなく、
自社の大切にする価値観や、理念やビジョンといった
「あり方」をしっかりと考える時間をとっていただきたいと思っています。

特に中堅・中小企業の場合、社長のトップメッセージを直接伝えていただきたいと思います。
会社の理念やビジョン、これまでの会社の歴史など、
ご自身の言葉で伝えていただきたいと思います。

価値観は判断基準になってきます。自立型の人材を育てる上では、
自社の判断基準によりどころになる価値観をしっかりと伝えることは必須です。

・若手社員向けの研修

若手社員は3年目以内を想定しています。
「階層別研修は新入社員研修と管理職研修のみ」という企業もありますが、
課題に合わせて年次別研修やテーマ別研修を取り入れることをオススメします。
たとえば入社3年目の社員の早期離職の割合に悩んでいる場合はキャリア研修や
セルフマネジメント研修を実施して早期離職防止・モチベーションアップを図る、などが挙げられます。

・中堅社員向けの研修

中堅社員とは、入社3年目以降で何らかの役職がついていない社員を想定しています。
自分の業務を遂行するだけではなく、周囲にも気を配ってコミュニケーションを行い、
チームの目標達成に向けてある程度リードしていく能力を持つことが必要とされている段階です。

後輩の育成や指導、現場と管理職への架け橋といった役割も期待されるでしょう。
現場の育成力向上のためにリーダー研修、メンター研修、フォローワーシップ研修を実施します。

・管理職向けの研修(課長)

マネージャーの育成力は、企業が成長していく上で重要な要となります。
管理職研修(課長研修)を通して、プレイヤーからマネージャーへの意識変革、
必要な知識の習得、マネジメント力の向上を目指す研修です。

具体的には部下の育成方法、リーダーシップ(コミュニケーション、コーチングなど)、
人事評価(能力評価のポイント、評価面談の方法など)、
労務管理(ハラスメント、労務リスク対策など)、
目標達成(PDCA、ビジョンの描き方など)、が含まれます。

・役員向けの研修

役員向けの研修には、一般的に役員としてのマインドセットを目的とした研修や、
リスクマネジメント能力を高めるための「コンプライアンス研修」「法務研修」、
経営知識の習得を目的とした「財務・会計研修」「経営分析研修」、
事業の戦略立案能力を高めるための研修などがあります。

当社では、戦略策定能力を高める研修では、
事前にワークシートを配り、幹部の皆様に棚卸しをしていただきます。

自社の優位性を考えるだけでなく、
経営理念から自部門のビジョンや戦略を落とし込むため、
さまざまなツールを使い、自己問答をしていきます。

また、当社が行なっている役員向けの研修では、半年間に渡り、
経営課題を発見し、そのプロジェクトをつくり、仮説検証、実行を行なっていく
「プロジェクト研修」を実施しています。

研修というより、プロジェクトのため、大学のゼミのような形で進んでいきます。
最終的には組織横断的なものの見方、考え方を身につけ、「今の仕事を回す力」ではなく、
「未来の仕事をつくる種をまく」学びの機会となっています。

・経営者向けの研修

持続的な企業成長のためにも、経営者の「事業を取り巻く環境分析能力」「経営戦略の立案能力」「リスクマネジメント能力」「人材育成力」「リーダーシップ能力」「プレゼンテーション能力」等は欠かせません。

これらは自社で経営幹部生を集めて実施する機会もありますが、
外部の公開型で参加されるケースもあるでしょう。

研修だけでなく、人脈を広げることになり、結果的には中期的に見て、
営業機会の創出になるケースもあります。経営者向け研修はそれなりに高額なものもありますが、
視点や視座を高めるために有益だと思います。

〇研修の種類と内容 職種別

・各事業部の専門スキル開発

「営業研修」「エンジニア養成研修」「労務管理研修」
「店舗マネジメント研修」など、顧客価値の最大化・目標達成を目的として各事業部が主催する研修です。

事業部(現場)と人事部(本部)とで、課題に感じている点や
育成計画に相違がある場合もありますので、
企業全体として最適な教育を行うためにも人事と密にコミュニケーションを
取りながら企画をすることが重要となります。

・選択型・選抜型・自己啓発支援研修

「自由選択式の研修(カフェテリア形式)」
「選抜型研修(プロジェクト型)」「自己啓発支援制度(外部研修などの受講補助)」などがあります。

自由選択式の研修は社員が自分でテーマを選択するため、学習意欲や習得率が高いのが特徴です。
一方で、画一的に行う研修ではないため、現在の業務やキャリア形成にどういう化していくかは
別途検討が必要です。選抜型(プロジェクト型)研修は、他薦型と自薦型があります。
イノベーションを起こして事業創造していける人材の発掘・育成に最適です。

特に、学びのモチベーションが低い組織の場合は、
選抜型や登用型で意識の高い層を引き上げるなどの施策は必要でしょう。

・ガバナンスの強化

ガバナンスの強化を行い、法令遵守やリスクマネジメントとしての研修に、
「知財管理」「情報管理」「ハラスメント防止研修」等の
コンプライアンス研修などがあります。

危機対応能力が乏しい企業は甚大な損害が生まれる可能性があります。
内容的に、一方的に伝達するだけになってしまいがちです。
経営リスクをしっかりと理解してもらうためにも、
理解度テストやディスカッションを取り入れるなど、学習効果を高める工夫が必要です。

〇研修の種類と内容(目的別、テーマ別)

・チームビルディング研修

組織のチームワークを高めるための研修です。
年次別、内定者、新入社員など、受講生は目的に合わせて決めます。
50名程度の規模の企業だと、全社員でチームビルディング研修を行うこともあります。
企業の統合後(M&Aや吸収合併など)に、
企業文化の差を埋めることを目的として行ったケースもあります。

・メンタルヘルス研修

近年「健康経営」が叫ばれていますが、
長時間労働から長期間労働へと働き方がシフトしている今、
従業員の心と体の健康管理は重要な経営課題のひとつです。
産業医や医者といった専門家を招いてメンタルヘルスとその対策について学んだり、
提携機関と連動してメンタルの不調を感じた際にいつでも相談できるようにガイダンスを行ったりします。

・モチベーション研修

早期退職防止や定着率の増加、
会社の士気向上や生産性の向上などを目的として、
社員のモチベーションを高めるために実施される研修です。

どんな時でも、自分自身でモチベーションを
高く保つ方法を学ぶセルフモチベーション研修や、
部下のモチベーションを高めて仕事をしやすい職場環境を作りたい
管理職向けに行われるモチベーション研修もあります。

・接遇研修

顧客満足度(CS)の向上、売上向上を目的として接遇を学ぶ研修です。
「接遇・マナー」と聞くとサービス業や接客業のイメージが強いかもしれませんが、
近年はダイバーシティ推進といった時代の流れから、
業界・職種に関わらず様々な組織で接遇力が求められています。

電話応対や言葉遣い等の基本的なビジネスマナーを学ぶだけではなく、
現場でよく起こる事例をもとにしたケーススタディや受講生同士のディスカッション、
講師からのフィードバックで理解を深めるとより効果的な研修となるでしょう。

対面、非対面型研修のメリット、デメリット

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けてから、
オンライン研修が一般的になりました。

これまで移動に費やしていた時間や経費が削減できたり、
効率よく実施できたりする点はメリットですが、対面研修の方が効果を得られやすいものもあります。

「全社員総会などの、会社の士気を高めるための研修は対面で実施し、
知識習得がメインの目的である研修はオンラインで実施する」など、
目的に合わせてうまく活用していくことが、
より効果の高い研修を実践するコツです。

デメリットを払拭するヒントも合わせてご紹介しますので、ご参考になさってください。

 対面(ライブ)オンライン(ライブ)Eラーニング(録画)
メリット・関係性作り・士気を高める・アイデアを出し合うことに適している。感情的なつながりを作るのに最適移動がないため時間効率が良い。理論を体型的に学ぶことが目的の研修など、情報伝達が効率よくできる。いつでもどこでも学ぶことができる
デメリット同じ場所に集まらなければいけないので、移動に時間を割かなければならなかったり、会場費、交通宿泊費といった経費がかかったりする点がデメリット。受講生同士の関係構築が対面に比べると難しい。ブレイクアウトルーム(zoom)の活用など、受講生同士が意見交換する時間を意図的に設けることで対策可能社員の主体性に任せることになるので、受講率や学習習得率は低い傾向にある。テストや課題を用意して習得率を視覚化するなど、工夫が必要

OJT、OffJ‐Tのメリット、デメリット

人材育成において、
OJT(on the job training 職場内教育)とOff-JT(off the job training 通常業務以外での研修)を
効果的に組み合わせることは大切です。

Off-JTは体型的な知識の習得に効果的な一方で、
「タメになる話が聞けてよかった」と一過性のものとして終わらせないための取り組みが重要になってきます。それぞれのメリットとデメリットを正しく理解して、目的に応じてうまく使い分けていきましょう。

 OJT(職場内教育)Off-JT(研修)
メリット現場の中で適宜必要な指導を行える座学研修を通して体型的な知識を習得することができる
デメリット教育効果は担当者の育成力に左右される。OJTリーダー研修など担当者向けのトレーニングをしていくのが大切理論を学ぶことが多いため、現場ですぐに定着するとは限らない。実践につながりにくい。フォローアップをする仕組みづくりが必要。

OJTを機能させるためには、
現場任せにせず、教える側(OJTリーダー)をきちんと教育することが大切です。

また「OJTリーダー研修をして終わり」ではなく、
育てる側と育てられる側の双方の計画を作ることが重要です。

具体的には、研修終了後に新人の育成計画を作成してもらい、
それを実践できているかどうか振り返る機会を設ける、等の方法があります。

また、OJTリーダーだけに新人の育成を任せるのではなく、
マネージャーとしっかりと連携して、職場全体で新人を育てるという風土作りをしていくことも大切です。

自社に合った効果の高い研修を選ぶ5つのステップ

これまでの研修は、「コスト」として考えられていました。
ですが、人材育成とは価値創造に向けた「投資」であると私は考えています。

これは近年推奨されている「人的資本経営」でも謳われていますが、
企業が直面する様々な経営上の課題は、人材面での課題と表裏一体であり、
スピーディーな対応が必要不可欠です。

ですから、企業理念や存在意義(パーパス)まで立ち戻り、
持続的な企業価値の向上に向けた人材戦略を描くことが重要なのです。

以下に、効果的な研修を実施するまでの手順を、5つのステップとしてまとめました。

1:「なぜ研修を実施するべきなのか」を明確にする

組織戦略(理念、ビジョン、戦略)に紐づいた人事戦略に則って考える

2:人材育成要件を定義する

自社内で定義することが難しければ、外部コンサルタント等に協力を依頼するのも有効

3:得たい能力要件を定義する

「受講生が抱える課題」「研修の目的、ゴール」「研修後に受講者に起こってほしい変化」を明確にする

4:それが得られる研修会社を探す

研修会社以外にも、独立している研修講師や外部コンサルタント(人事コンサルタントや人材育成コンサルタント)に相談するという方法も

5:研修会社の体験会などに参加をする

注目するべきポイントは、研修内容、理論、講師、難易度(わかりやすさ)かどうか、等。

事業にもよりますが、3ヶ年計画などでの経営計画の中に、
人事ビジョンを掲げて、教育計画を段階的に考えることが大切です。
1年では変わる実感が得られないこともあるかもしれませんが、
3年も検証と実践を繰り返せば、組織文化や体制は大きく変わるでしょう。

人材育成は未来を創造する仕事である。

私は、人材教育とは未来をつくる仕事だと考えています。
子育てと似ていて、親は子供の明るい未来を期待し、教育に投資します。
企業内教育も同じで、未来を描き、教え、育むことが必要です。

すぐに結果は出ないこともあります。また、知識を教え込むだけでなく、
本人が自分で考え、動ける環境をつくることが大切です。

また、人と組織は急に変われません。長く染み付いた習慣があります。

この習慣を変えていくためには、3年くらいかかります。
今の時代において3年は長いと思うでしょう。

しかしながら、すぐ身に付く技術は、他の企業も身に着けることができます。
しかし、良い習慣や考え方が定着すると、企業力も向上し、目に見えない競争優位が生まれるのです。

もしかすると、今やっている研修や教育施策が本当に良いのかと迷うこともありますが、
そんな時は「企業目的」に立ち返り、
企画者自身が、信念と胆力を持ち、取り組むことも必要です。

今回の記事が、あなたの企業の明るい未来をつくる一助となれば幸いです。